ペットの遺骨や遺灰を納める「メモリアルジュエリー(リング)」は、一般的なアクセサリーとは異なる構造的特徴を持っています。デザインの好みだけで選択すると、耐久性やメンテナンス面で想定外の不便さを感じるケースも少なくありません。
オーダー後のミスマッチを防ぐため、購入前に確認すべき技術的・実用的なポイントを5つに整理しました。
1. 「日常使い」を想定したデザインと耐久性の確認
メモリアルリングは、いつも身につけるのか、保管して眺めるのかで、向いている形状が変わります。日常的に着用する場合は、引っかかりやすさや傷つきやすさにも影響するため、着け心地に関わるポイントを中心に選ぶと安心です。
- ひっかかりの少なさ: 石座や装飾が高いと、ニットやタオル、髪の毛、マスクの紐などに引っかかるストレスがあります。
- リングの厚みと幅: 家事やデスクワークの際、指に異物感を感じない厚みかどうかが重要です。
- 耐久性: 手を洗う回数が多い、重い荷物を持つことがある場合、華奢すぎるデザインは変形の原因になることがあります。
写真だけでは立体感が伝わりにくい場合があります。着用画像や、横から見た厚みの画像も確認し、ご自身の生活に馴染むか想像してみましょう。
2. 正確なサイズ計測と「サイズ直し」の構造的制約
一般的な指輪と異なり、遺骨を納めるリングはサイズ直しができない、または範囲が限定されるケースが多く存在します。これは、サイズ調整時の加熱や変形が、遺骨を納めた空洞部分(カロート)に影響を与えるためです。

- 計測のタイミング: 指のサイズは、季節(夏はむくみやすい)、時間帯、体調により0.5〜1号程度の変動があります。日を変えて複数回計測することを推奨します。
- リングゲージの使用: 紐や紙での計測は誤差が大きいため、必ず専用のリングゲージを使用してください。幅広のデザインを選ぶ場合は、圧迫感を考慮して少し大きめのサイズを選ぶのが通例です。
- リサイズ保証の確認: 購入前に「サイズ直しが可能か」「可能な場合の範囲(±何号までか)」を必ず仕様書等で確認してください。
購入前に「サイズ直しは何回まで可能か」「有料か無料か」「そもそもサイズ直しができる構造か」を必ず確認しておくと安心です。
3. 素材選びは「金属アレルギー」と「変色」を考慮する
メモリアルジュエリーでは、長期保存の観点からK18(18金)やプラチナ(Pt900等)が推奨されますが、素材の特性を正しく理解する必要があります。
- 耐食性: 金やプラチナ自体は酸化や腐食に強い金属です。しかし、指輪としての強度を保つために配合される「割金(わりがね)」に注意が必要です。
- アレルギー要因: 一般的に、プラチナ割りにはパラジウム、K18割りには銀や銅が含まれます。「プラチナだから安心」ではなく、ご自身の体質が合金成分(パラジウムや銅など)に反応しないか確認することが大切です。
4. 一番大切な「お骨の納め方」と「残ったお骨の返却」
ここが最もデリケートで、工房ごとの違いが出る部分です。ご自身が納得できる方法か、以下の視点でチェックしてください。
- 防水性能: 樹脂で固めるタイプ、完全密閉タイプなどがあります。「入浴時も着けたい」場合は、完全防水(溶接密閉など)に対応しているかが重要です。
- お骨の量と扱い: 一般的に、指輪に納めるお骨は「お米粒1〜2つ分」などごく少量です。
- 残ったお骨の返却方法: ここは非常に重要です。「残ったお骨はすべてお返しします」と明記されているか確認しましょう。また、どのような状態で返却されるか(カプセルに入れてくれるのか、包んでくれるのか)も聞いておくと安心です。
5. 完成までの「流れ」と「納期」を確認する
メモリアルジュエリーは、オーダーメイド(受注生産)となることが多く、注文から完成まで時間がかかります。
- 申し込み・お支払い
- お骨を送るためのキット到着(このやり取りで数日かかります)
- 制作期間(デザインにより数週間〜数ヶ月)
- 完成・発送(残ったお骨の返却含む)
「一周忌に間に合わせたい」「誕生日に受け取りたい」など希望日がある場合は、注文前に必ず納期の相談をしましょう。「お骨をお店に送ってから」制作がスタートするケースが多いため、全体のスケジュールには余裕を持つことが大切です。
オーダー前の最終チェックリスト
迷ったときは、以下の項目を整理して問い合わせてみましょう。
- どの指に着けるか(日常使い用か、お出かけ用か)
- 正確なリングサイズ(リングゲージでの計測を推奨)
- 希望の素材(色味やアレルギーの有無)
- お骨の納め方への要望(防水性など)
- 残ったお骨の返却方法について
- 希望の納期
大切なペットとの絆を形にする指輪です。疑問点を解消し、心から納得できる一本に出会えることを願っています。
