供養方法の多様化
供養には、様々な方法があります。
遺骨を一般墓や納骨堂に納めたり、最近では樹木葬による埋葬、また遺灰を山や海に散骨するなどといった方法があります。
また、お墓の管理が難しい、納骨室のスペースがなくなる、管理継承者がいなくなる等の理由から、お寺や霊園に管理を任せる永代供養を選択される方もいるでしょう。
慣習や生活様式の変化により、供養方法も時代に合わせて多様化しています。
亡くなったペットを供養する
庭付きの家に住んでいれば、ペットの亡骸を庭に埋葬する選択肢があります。また、仏壇のある自宅ではペットの遺骨を骨壺に納めて、ご先祖様と共に仏前で供養する方法が考えられます。
しかし、庭付き住宅や仏壇が日常の暮らしにない方にとって、亡くなったペットの供養をどのようにするかは悩みどころです。
前述したように、合葬墓や納骨堂、樹木葬などで永代供養をしてもらうという選択肢もありますが、慣れない宗教観や弔い方を考慮してペットの供養方法を選択するということはなかなか難しいことかもしれません。
そこで、ペット供養の一つの選択肢として「手元供養」をご紹介します。
手元供養とは、ペットの遺骨の全部または一部を、自宅などの身近な場所に安置し供養する方法のことです。宗教の慣習など明確な決まりごとはなく、自由な形で供養することができます。
そのため、手元供養では自分らしさを表現しながら供養のスペースをつくることができます。供養の形式や揃えるべきものについても決まりはありません。
手元供養には、遺骨を納める容器が必要です。ミニ骨壺やアクセサリーなどの手元供養品が一般的で、納めた遺骨を自宅で保管したり、日々の生活で身に付けたりすることで、亡くなったペットをより身近に感じることができます。
手元供養の特徴
手元供養は、形式に捉われることなく、亡くなったペットを身近に感じられるといった特徴があります。
- ペットとの繋がりをいつでも身近に感じることができる
- 寂しさや悲しみを和らげることができる
- 宗教や形式、従来の常識に捉われずに供養できる
- 自宅でいつでも供養することができる
ペットへの想いを表現する
遺骨を納める手元供養品として用いられるものには、ミニ骨壺、アクセサリー、キーホルダーなどがあります。また、手元供養品を安置する場所として、コンパクトなミニ仏壇やステージなどといったものもあります。
様々なサイズやデザインの供養品が販売されているので、ペットを想う気持ちを好きなように表現することができます。ペットとの想い出に合わせて、好みのものを選んで組み合わせてみるのもよいでしょう。
また、骨壺から分骨をして遺骨の一部をアクセサリーに納骨する場合、納骨ケース自体がペンダントになっているものや、遺灰を樹脂加工して指輪に納めるものなどがあります。
既製品からオーダーメイドのジュエリーまで幅広いアクセサリーが販売されています。日々の生活で身に付けたい方にとっては最適な選択肢となるでしょう。ジュエリーであれば、安置して供養する方法にも利用できます。
分骨は縁起が悪い?
日本では遺骨に魂が宿っているという考えが普及しており、分骨してしまうと「五体満足で成仏できない」のではと考える方も少なくありません。
しかし、仏教や神道に、分骨をよくないとする教えはありません。
仏教の開祖であるお釈迦様の遺骨は、8等分に分骨された後、何万もの寺院に分配され祀られています。(そもそも「縁起」とは仏教用語ですので、縁起が悪いといったことはありません。)
また、各宗派の本山でも故人の分骨は受け入れています。個々人の価値観にもよりますが、ペットの遺骨の一部を分骨してアクセサリーにすることを迷われている方は安心してよいでしょう。
手元供養をはじめる
① 死亡届
まず、ペットとして犬を飼っていた場合、亡くなった際には各自治体の役所へ届け出る必要があります。猫やその他のペット(指定動物を除く)は、届け出の必要はありません。犬だけに死亡届が必要とされている理由は、犬に狂犬病ワクチンの接種が義務付けされているからです。
② 火葬の手配
ペット火葬を手配します。自治体火葬は、基本的に一度の火葬で何体かの遺体を一緒に火葬する「合同火葬」で執り行われます。自治体にもよりますが、一般廃棄物として扱われることも多く、立ち会いや遺骨の返却はできないため、「個別火葬」に対応している民間火葬業者に依頼をしましょう。サポートも手厚く安心して任せることができます。(自治体よりも費用は高くなります。)
③ 遺骨を持ち帰る
民間火葬業者で火葬する場合の多くは、拾骨収骨するための骨壺を提供してくれます。好みのデザインがある場合には、事前に用意しておくのもよいでしょう。そのままペット火葬場の合葬墓や納骨堂で供養してもらうこともできますが、遺骨は返却してもらい家に持ち帰りましょう。
④ 供養する
遺骨を安置するスペースを確保して、供養します。アクセサリー等の手元供養品に納骨して供養する場合、手元供養品へ移した後に残った遺骨は、供養品と一緒に安置する、または合葬墓や納骨堂、樹木葬などで永代供養する、散骨をするなどの方法が考えられます。
手元供養にも、手元供養の残りの遺骨の行き先にも「こうでなければならない」という決められた形はありません。
亡くなったペットを偲ぶ気持ちを大切にしつつ、遺された人の想いやライフスタイルにも考慮して、相応しい手元供養のカタチを決められるとよいでしょう。